極上ドクターの甘い求愛
まぁ、確かに、あの場に岩崎先生がいてくれたならば、事態はもっと早く収束に向かっていただろう。
でも、そんな都合の良すぎる話、現実には存在しないのが普通だ。
それに……岩崎先生に迷惑をかけたくは、ない。
「別に私は何を言われてもいいんです。」
『やだ!私が嫌なの!こんな純粋無垢で真面目で可愛い咲坂ちゃんを、これ見よがしに甚振るなんて、この私が許さないんだから!咲坂ちゃんは何もしてないじゃない!岩崎が咲坂ちゃんに言い寄るのだって、当然と言えば当然よ!こんなできた子、私が男だったら絶対モノにしたいと思うもの!』
「…ふふっ、ありがとうございます。」
枝豆を豪快に食べている前田先輩の言葉で、心がずいぶん軽くなった気がした。
万人に私が受け入れてもらえるなんてこと、最初から思っていない。私を軽蔑する人なんて、世の中にはご満といる。その中で、前田先輩みたいに私のことを気に掛けてくれる人が1人くらいいれば、私は充分だから。
それだけで、私は地に足立たせて、頑張れる。
きっとナースさん達からの誹謗中傷にも、耐えられるはずだ。
『あーもう…あれだけ酷いこと言われても愚痴一つこぼさない咲坂ちゃんって…どれだけお人好しなの~!私には言えない?不満とか文句とか、愚痴とか、周りに言ってやりたいこと、あるでしょ?』
お人好し、か…。
初めて言われたかもしれない。
不安げに私を見つめる前田先輩に、笑顔を向けた。