極上ドクターの甘い求愛
『ふざけんな!俺と咲坂が付き合ってるはずないだろ!』
『はぁ!?いつも2人で仲良く帰ってるじゃねーか!』
『……っ』
私とのことで茶化されている日野くんが、いくら私との関係を否定しても、周りの男子達は聞く耳をもたなかった。
小学6年生といえば、そういったことに敏感で、過剰に反応してしまう盛んな時期。
ただ毎日下校を共にしているというだけで、そういった考えに到達してしまうのも、その幼稚な頭からすれば、仕方のないことなのかもしれない。
けど、私が傷ついたのは、そんな桁違いなことを言う周りの男子たちの冷やかしなんかじゃなくて、
『違うって言ってるだろ!誰があんな男女みたいなヤツ、好きになるかよっ!』
『っ――!!』
日野くんの、私への侮辱だった。
―――ピピピッピピピピピッ
「んー…!」
耳元で耳鳴りのようにうるさく鳴り響く目覚まし時計を、寝起きの力を最大限にして止める。
「……夢、か。」
あの懐かしくて、できれば思い出したくない記憶は全て夢であったことを、桜色のカーテンから差し込む朝日の光によって察した。