極上ドクターの甘い求愛
久しぶりに、あんな夢見たな…。
寝起きの私は、あの夢のせいかすこぶる気分が悪かった。
寝汗とは違う汗を掻いて、気持ち悪さを感じた私は、シャワーを浴びるためにお風呂場に向かった。
日野くんとは、家が近所で、小学生の頃はよく一緒に遊んだりした。当然、一緒に学校に行ったり、一緒に家に帰ったりすることも普通だった。
仲の良い男友達。――最初は日野くんのことを、そんな風に見ていた。
クラスの誰よりも可愛くて、背がちっさくて、人思いで優しくて。ちょっと気が小さい子だったけど、曲がったことが嫌いな男の子だった。
だから、いつの間にか私は、日野くんのことを異性として見るようになった。私によく見せてくれていた日野くんの太陽のような笑顔が、大好きだった。
――でも、日野くんは違った。
ザーー…ッキュ…ッ
お湯で汗を流し終えた私は、出勤時刻を過ぎてしまわないように急いで支度を始める。
「……はぁ、あんなこと思い出しても、何の意味もないのに。」
小学生の頃の私は、確かに男の日野くんよりも勇ましかったのかもしれない。
だから、あんな風に日野くんが私のことを思っていても、仕方がない。
私のことを、異性として見てくれなかったのも、仕方がない。
あんな過ぎた過去、どうして夢でなんか見ちゃったんだろう――?
そう思いながら、私は仕事用のパンプスに足を滑らせて、玄関を開けたのだった。