極上ドクターの甘い求愛
――『繭ちゃん!』
「、あ…岩崎先生。」
電車通勤の私は、駅から徒歩で病院に通っている。
病院の門をくぐって、職員用玄関で、偶然にも出勤前の岩崎先生と遭遇した。
「おはようございます。」
『おはよ。今日も繭ちゃんは可愛いね。』
「……来週、視力検査あるみたいですよ。」
『あ、ちょっと待ってよ、繭ちゃん!』
朝から、糖度120パーセントのセリフを私に向かって吐いてくれた岩崎先生を軽く睨んで、私は院内に入る。
その後を、朝からフレッシュ感満載の爽やか笑顔を張り付けた岩崎先生が追ってくる。
よくも朝っぱらから笑顔キープできるな。さすが社会人。岩崎先生のそういったところは、とても尊敬できるなと少し思う。
『ねー、繭ちゃん。昨日のケーキ、すんっごい美味しかった!』
「……それは昨日のメールで拝見しました。」
迷わず薬剤部に向かう私の横に並んだ先生は、昨日私がお詫びにと渡したシフォンケーキの話題をぶち込んでくる。
……いつもこんな私を可愛いと言う先生の視力を心配した私の話はスルーかよ。
そんな不満は口にせず、昨日の夜のことを思い出す。