極上ドクターの甘い求愛



夜景を楽しんだ(あれは楽しんだのか?)私は、岩崎先生の口車にまんまと乗せられて、夕食まで共にしてしまった。

前回同様、ちゃっかり先生にお財布を任せてしまった私は、先生のベンツで送ってもらって帰宅したのだ。

そして、お風呂上りに飲むヨーグルトを飲んでいたころ、先生から送られた一通のメール。


『こういうのは、メールよりも直接の方がいいでしょ?』

「…だったら、昨日のメールはしなくても良かったんじゃないですか。」

『いや、あの感動を少しでも繭ちゃんに届けたくて。』

「……。」


ダメだ、この人。

脳内フラワー加減が、いつもより増している。

先生のメールは、前に私が先生に生キャラメルをあげた時と同様に、味の感想(シフォンケーキVer.)が事細かに載せられていて。それを見た私は、前回同様、ありがとうございます。おやすみなさい。しか打てなかったのである。

……この半月、私のコミュニケーション能力、ちっとも上がってない。

そんな自分の不甲斐なさだけを感じつつ、昨日眠りについたのは、言うまでもない。


「…先生、消化器外科は、あっちです。」


1階にある薬剤部までは、あっという間についてしまった。先生が所属している消化器外科は4階なので、薬剤部の奥にある階段を指さす。


『はいはい、もう行きますよー。…じゃ、今日も頑張ろうね、繭ちゃん。』

「…はい、先生も。」

『うん。またね。』


去り際に、岩崎先生に軽く頭を撫でられた私は、何とも形容しがたいこの感情を心にしまい込むのに必死で、周りの冷たい視線など微塵も感じていなかった。


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