極上ドクターの甘い求愛
『ふざけんな!コイツを守ることもできねーくせに、ノコノコ現れんじゃねーよ!』
『っっ』
私が立っている所からじゃ、日野くんが今どんな顔をしているのか、後ろを向いているせいで見えないけれど、岩崎先生を殴ったその拳が震えているのが見えた。
その拳が、日野くんがさっき以上に怒っていることを物語っていた。
さらに先生に殴り掛かりそうな勢いの日野くんを止めるように、私は2人の間に走って割って入る。
「待って、日野くん!」
『どけよ、咲坂!』
「嫌!どかない!日野くんがその手を下げるまで、絶対どかない!」
『~~~っ…!』
これ以上先生に何をするか分からない危険な日野くんから守るように、岩崎先生の目の前に立つと、日野くんは納得いかないとでも言いたそうな悔しげな表情を浮かべながらも、空に向かって上げていた拳をゆっくりを下げてくれた。
「…何で殴ったの。」
『……言っただろ。お前を傷つけるようなヤツがいたら、それが例え岩崎先生でも俺は殴るって。』
ほんの一瞬、昨日このベンチで話したことが脳裏によぎる。
だからって……本当にこんなことしなくてもいいじゃない……。