極上ドクターの甘い求愛
極上男子に甘やかされたら。
『――繭ちゃんの手料理が食べたいな。』
帰りのベンツの中、運転中の岩崎先生にそう言われたのはほんの1時間前のこと。
前に私が作った料理をとても気に入ったらしい先生は、豪勢なものは作れませんよと渋い顔をした私にそれでも食べたいと言ってきかなかった。
『さぁ、上がって上がって。』
「は、はい…。」
岩崎先生のお宅にお邪魔するのはこれで2回目だ。
でも、前回は私の無意識のウチに連れてこられていたものだから、岩崎先生の玄関に立っている今、身体中に妙な緊張感が走った。
……だって、男の人の部屋なんて、入ったこと…ないんだもの。
先生がリビングの方へと続く廊下を歩いていくのを見送って、脱いだばかりの黒のパンプスを玄関の端に置きなおした私は、ドキドキと心拍数を早くさせながら先生の後を追った。
『勝手にキッチン使っていいからね。』
「あ、はい。じゃあ…早速作ってきますね。」
私がいるにもかかわらず、スーツを脱ぎ始める先生の方を向けずに返事をした私は、先生が荷物番をしてくれていたスーパーで買った食材が入っているビニール袋を抱えてリビングを後にした。
……なんか、艶やかすぎて…直視ができなかったんですけど。