極上ドクターの甘い求愛
奥さんって…!奥さんって!
私の赤面ボルテージは最高潮。
少しクーラーの効いているこの部屋が、物凄く暑苦しく感じてしまうのは、どう考えても澄ました顔でおかわりしたお味噌汁を飲んでいる岩崎先生のせいだ。
『…繭ちゃん?』
「ッ……もう、おかわりはそれでお終いですからね!」
『えっ!?何で!?』
「残りは明日の朝の分ですから!」
何だか負けっぱなしになっているのが嫌で、意地悪半分にお味噌汁のお預けを言いつけると、先生はあからさまに落胆した声を発した。
いきなり奥さんとか…変なこと言う先生が悪いんだから!
でも、私のことをそんな風に思ってくれていた先生の言葉に嬉しくなってしまう私の心が恥ずかしくて、ワザと怒っているフリをしてしまう。
『……まぁいいや。明日も繭ちゃんの手料理が食べられるってことだもんね?』
「っ・・・」
でも、どんなに私の心を隠そうとしても、先生には全てお見通しのようだった。
頬の赤みが全く取れていない私をその漆黒の瞳に映しながら、先生は妖しく微笑む。
『そんな可愛い顔ばっかしてると、襲っちゃうよ?』
どこまでも洋菓子のように甘い先生に、私はもう降参です。