極上ドクターの甘い求愛
『岩崎先生、おモテになられるもんね。』
「はい。」
『それに咲坂ちゃん、ナース達に睨まれてるもんね。』
「……はい。」
人に改めて言われると心の傷口が開く。
私は何もしていないはずなのに、あからさまに目の敵のように扱われるといくら何でも傷つくっていうか。いつか私の仕事にも影響が出てくるんじゃないかって気が気じゃない毎日で、密かにビクビクしてるなんてこと誰も知らないんだろうな。
……特に岩崎先生とか岩崎先生とか岩崎先生とか。
『ご愁傷様。これも岩崎先生に気に入られちゃったんだから仕方ないわね。』
「そんな…!見捨てるようなこと言わないでくださいよー…。」
『あははっ、ごめんごめん。』
こっちは本当に悩んでるんだから。
まだ薬剤部の岩崎先生ファンは私に対して敵意剥き出しな感じはない。むしろ、私が薬剤部にいる日は岩崎先生に会えると信じていて、私を歓迎してくれている。
でも……ナースさん達は違う。特に先生の所属してる消化器外科のナースさん達は。
まるで自分のものが取られたかのように私に冷徹な視線を向けてくるのだ。
『まっ、頑張んなさい!愚痴ならいつでも聞いてあげるからさっ』
「…そんなこと言って…先輩、新婚さんだから誘っても釣れないじゃないですかー。」
去年、同業者である薬剤師の旦那さんをゲットした前田先輩は、結婚した途端めっきり私と飲みにはいかなくなってしまった。
旦那さんと上手くいっているのは良いことだと思うけど、ちょっと寂しく思ってしまっているのもまた事実。…だって、先輩とのお酒の席は特に楽しいから。