極上ドクターの甘い求愛
私から話しかけないと口を開かないような暗めの男の子ばかり。
私より積極性の高い女子ならばいいのだけど、男子、となった瞬間に私のコミュニケーション能力が一気にレベルダウンしていくのだ。
『…まあ、そんな深く考えなくてもいいんじゃない?』
「え?」
『考えてもみなよ。自分が話しかけたらブスッとされると嫌な気持ちするでしょ?だから、笑いな。ね?』
ふと、私がいつも岩崎先生にしている態度を、逆に岩崎先生が私にしたならばどうだろう、と考える。
チクリ、と胸の奥に小さな何かが刺さった気がして、今まで私は岩崎先生に失礼なことしてたんだとやっと気づいた。
――確かに、良い気持ちはしないかも。
「…善処します。」
『ん。素直でよろしい。』
「…ありがとうございます、先輩。」
いつも先輩は私に足りない何かを教えてくれて、それにきちんとアドバイスまで付け足してくれる。…だからいつも頼っちゃうのかも。この姉御肌な先輩に。
心からの感謝を口にすると、いいのいいのと謙遜した先輩はお先に帰るね、と言って帰り支度を済ませて帰っていった。
…私の方が先に着替えてたのに――はや。
よっぽど旦那さんのことが好きなんだろうなぁとほっこりしつつ、私も着替えを済ませた。