極上ドクターの甘い求愛



お見送りのナースさんと笑顔で会話をしていた岩崎先生は、ゆっくりとこちらへ向かってくる。

…うわ、どうしよう。

岩崎先生を待っていた筈なのに、いざ本人を目の前にすると戸惑う。

曲がり角に隠れて岩崎先生が自分の車の方へと歩いていく後姿をチラリと見た私は…、ひとつ大きな深呼吸をした。


「いっ、岩崎先生!」

『ッ!?』


意を決して呼びかけると、岩崎先生は物凄いスピードで私の方に振り向いて、信じられないものでも見たかのようにビー玉の様な瞳を真ん丸にさせた。

…考えてみればこの半年間、岩崎先生から呼びかけられることはあっても、私から岩崎先生に話しかけるようなことは皆無だったかもしれない。


『えっ、…繭ちゃん!?』

「お疲れ様です。」

『おっ、お疲れ様…!』


目をパチパチと瞬きさせながら、先生の元に近寄る私をジーッと見下ろしてくる岩崎先生。

…そんなに私から話しかけるのが変なの?

そう思いつつも、今日一日ずっと渡せなかったお礼の紙袋を先生に差し出した。



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