極上ドクターの甘い求愛
「さようなら。」
『……っ!』
自分でも良くできたと思う。前田先輩に言われた通り、岩崎先生に笑いかけてみると、意外と自然に笑顔が作れて。
先生を待っている間に冷えてしまった身体を早く休ませたくて、先生から背を向ける。
『待って、繭ちゃん!』
「わわっ!?」
背後から伸びてきた先生の手は、力強く私の手首を掴んで、驚いた私は肩を飛び上がらせてしまった。
びっ、ビックリしたー…!
まだ何かあるのかと思って岩崎先生を振り返るけど、先生は掴んだ私の手首を離してくれない。冷え切っている私の身体には、触れている先生の体温がとても熱く感じられた。
『…冷えてる。もしかして、ずっとここで俺が来るの待ってたの?』
「――っ!」
図星を言い当てられて、恥ずかしさで顔に熱が集まっていくのを感じた。
否定できない私が顔を俯かせても、先生が大きい体を縮ませて私の顔を覗き込んでくるから逃げられなかった。