極上ドクターの甘い求愛
「は…っ、離してください…!」
『離さないよ。離したら逃げるだろ。』
「……っ」
ブンブンと掴まれた手首を振ってみるけど、私の手首に絡まる先生の手は全然びくともしなかった。
男の人の力って…こんなにも強いものなの?と内心焦らずにはいられない。
こういう時、男性経験がないからどうしたらいいのか分からない。私を見つめてくるこの端正な顔を前にして、どんな反応をすればいいの?
『繭ちゃん、今日は日勤だったよね?遅くても6時には終わってる。』
相変わらず私のシフトは脳内コピーされているらしい。私は自分の明日の勤務も覚えていないというのに。
『俺が出てくるまで、ずっとここで待ってたの?』
「…。」
『答えて、繭ちゃん。』
私の手首をつかんでいる先生の力が強くなった。
何かを期待している様なそんな目をした先生と視線が交わって、すぐに目を逸らす。
……何よ。待ってちゃいけないの?