極上ドクターの甘い求愛
「もう、離してください…!早く家に帰って温まりたいんです…っ」
『それなら、俺が送ってあげるよ。』
「え――ッ」
『繭ちゃん家までのルートはもう叩きこんであるから。』
――はい?
幻聴だと思いたかった。誰もが見惚れてしまうような笑顔を私に向けた先生は、掴んだままだった私の手首を引っ張って先生のベンツへと足を進めて行く。
待って、何でこうなるの?
「ちょっ…と、待ってください、先生ッ」
『生キャラメルのお礼だと思って、はい、乗って。』
ッ――!
先生に強くはないけど拒否できない力でベンツの助手席に押し込まれてしまった。
生キャラメルはこの前のお礼なのに。お礼のお礼って…意味わかんない。
「お礼なんていいですから!」
『車で帰ったほうが速いし暖もとれるし、一石二鳥だろ?遠慮しないで。』
「~~~っ」
運転席に座った岩崎先生はシートベルトを締めるとすぐにベンツを発車させた。
本当に人の話を聞かない人だ。意外と岩崎先生って頑固だよね。と思いながら、もう発車してしまったのだから仕方ないと諦めて、大人しく先生に送ってもらったのだった。