極上ドクターの甘い求愛
『んふふー、先生?』
「どうした?」
繭ちゃんが頼んだコークハイがやってきて更に上機嫌になった繭ちゃんは笑顔で俺を見上げてくる。
さっきから俺…この笑顔にドキドキなんだけど。この子、絶対無自覚でやってるんだよなー。とちょっと苦笑。
『…いつになったらナースさん達のとこに戻るんですかー?いい加減帰ってくださーい』
「酷いよ、繭ちゃん…。」
素面ならまだしも、酔いが回っている状態でそんなこと言うなんて、ショックが大きすぎるよ。
まだいつもみたいなクールな繭ちゃんに言われたほうがマシだ。なのに、希少価値の高い笑顔を向けて帰れなんて、俺のガラスのハートにヒビが入るんだけど。
俺が毎日毎日繭ちゃんを追い掛け回しているせいで、病院のナース達に繭ちゃんが冷たい目で見られていることは知っている。
でも、だからこそ、俺は常に繭ちゃんの傍にいたい。彼女達から彼女を守ってあげたいと思ってる。……まぁ大部分は、繭ちゃんと一緒にいたいだけなんだけど。
俺が繭ちゃんに構うことで、ナース達が繭ちゃんに手を出さないように予防線を張っているつもりなんだけど…、俺に対する繭ちゃんの冷たい態度から察するに、繭ちゃんは俺の思惑なんて1ミリも分かっていないんだろう。
――それでもいい。繭ちゃんは、何も知らず俺に守られていればいいんだ。…俺だけに。
繭ちゃんのことになるとどうしても止まらない俺の独占欲が、日に日にヒートアップしていくのを感じていた。