極上ドクターの甘い求愛
「こら、繭ちゃん飲みすぎだよ。もうそれくらいにしないと。」
『先生には関係ないです…!』
コークハイがまだ半分入っているグラスを繭ちゃんの手から取り上げて、隠れて俺が飲んでいたウーロン茶が入っているグラスと取り換えて、繭ちゃんに差し出した。
グラスに入っている量は全く違うのに、酔いが回っている繭ちゃんはそれに気づかず、疑うそぶりも見せずにウーロン茶に口づけた。
半年前、いつものように俺に群がってくるナース達の扱いに困っていると、颯爽と俺を救ってくれた繭ちゃんに初めて出会った。
この子も俺の顔目当てで近寄ってきたんだろう。最初はそう思ってた。だから、皆が大好きだという俺の笑顔を向けてお礼を言った。
でも、彼女は…
"いえ。私は業務があるので、失礼します。"
俺の営業用スマイルなんてチラ見もせずに、俺に背を向けて薬剤部の中に入って行ったんだ。
その時思った。彼女は俺に群がってくる女の子たちとは違うのかもしれないって。
『繭ちゃん。デザート何にする?アイスあるよ。』
「……抹茶がいいです。」
『了解。』
飲み会も終盤に入って、デザートを頼みだす周りに交じって、俺は抹茶アイスとバニラアイスを頼んだ。
甘いものが苦手な繭ちゃんらしいオーダーに、俺はくくっと笑ってしまう。
酔っていても、やはり好みは変わらないらしい。