極上ドクターの甘い求愛



「な…っ、何するんですか!?」


ババッと左耳を抑えて、ズササッと先生と距離を取った私は、隠せない赤面顔でしてやったりなニヤケ顔を浮かべた先生を睨んだ。

さっき、何もしないって言ったばかりなのにッ…!信じられない、という気持ちでいっぱいだ。


『だって、ご褒美の一つくらいくれたって罰当たんないでしょ。』

「え?」


ご、褒美…?

目をパチパチさせて先生の言葉の意味が分かっていない私を察してか、先生はご丁寧に私が先生と添い寝をしていた理由を教えてくれた。


『昨日の飲み会で繭ちゃん、途中で寝ちゃったんだよ。何をやっても起きないって聞いたから、俺が家まで連れてきたわけ。分かった?』


言われてみれば、昨日の記憶はあまり思い出せなくて。

前田先輩と楽しくお酒を飲んでいたのは覚えてる。先輩が旦那さんの迎えのために先に帰ってしまって、入れ替わりのように岩崎先生が私の隣に来たことも。

でもそのあと、焼酎を何杯か飲んだ後の記憶は――ない。


「すっ、すいません…!先生にご迷惑をかけてしまって…!!」


全てを察した私は、二日酔いで少し痛みを孕んだ頭を下げて謝った。



< 64 / 234 >

この作品をシェア

pagetop