極上ドクターの甘い求愛
私は酔うと、まず笑い上戸になる。とにかく笑っていて、どんなつまらない薬剤部長のおやじギャグも楽しく笑えるくらいに。でも、問題はそこからだ。
私の場合、泥酔状態に入ってしまうとどこでもかんでも寝てしまうという酒癖がある。そこが例え、飲んでいるお店でも、帰る途中の電車の中でも、駅のホームでも、マンションの前のエントランスでも、エレベーターの中でも、階段でも。
数多く存在する私のお酒の失敗談で、朝方まで家のドアのぶに鍵を差し込んだ状態でドアにもたれ掛かって寝ていたこともある。
だから…、先生の言う私が飲み会の途中に寝てしまったという話は本当なのだろう。
『謝らなくてもいいよ。おかげで繭ちゃんを家に連れ込むことに成功したしね。』
「……っ」
岩崎先生の漆黒の瞳が、キラリと妖しく光ったのが見えてしまって、咄嗟に目を逸らしてしまう。
お互い服は着ていることから、私のバージンはまだ守られていることは確かなようだけど。
……岩崎先生の家に2人きりという危ない空間にいることは忘れてはならないと肝に銘じた。
「あの、これ以上居座るのも迷惑なので、私帰りますね。」
『待って、繭ちゃん。』
「ッ」
さっさと帰ろう。
そう決めてベッドからそそくさと逃げようとした私の手首を、ガシリと先生が掴んだ。