極上ドクターの甘い求愛
――ガラッ
「失礼します。おはようございます。」
406号室。
朝の回診が終わってあまり時間が経っていないからか、406号室の患者さんたちの視線が一気に私に集まる。
以前までは空き床だった手前右のベッドには、人が横たわっている。
うん、確かに顔はイケメンだ。…でも、岩崎先生の方が格好いいかな?――あれ、この人どこかで――…
『おっ、薬剤師の姉ちゃん!久しぶりだなぁ!』
「お久しぶりです、水田さん。今日は良い天気ですね。」
病室に入った私に真っ先に声をかけてくれたのが、新規入患さんの前のベッドにいる水田さん。
初めて会った時から、私に気さくに話しかけてくださる患者さん。
水田さんとの世間話もそこそこに、病室にいる患者さん一人一人に笑顔で挨拶を交わしながら、私はまず最初に一番奥のベッドにいる丸岡さんの元へと近づいた。
「丸岡さん。おはようございます。」
『…あぁ、咲坂さんか。』
「はい。今日は変更になったお薬のご説明をさせていただきに参りました。お時間、大丈夫ですか?」
今日の朝刊の新聞を老眼鏡越しに読んでいた丸岡さんは、ニコリと口元にしわを寄せて笑いながらいいですよと言ってくれた。