極上ドクターの甘い求愛
『そうなのかい?僕はお似合いだと思うんだけどね~。』
『ワシもワシも!先生は色男やし、姉ちゃんも十分ベッピンさんやけーの~!』
「~~~っ」
丸岡さんまで…!
私サイドに立ってくれるだろうと思っていた丸岡さんにまで裏切られて、私は少し肩を落とす。
岩崎先生は論外として、前田先輩も水田さんも丸岡さんも、どうしてこうも皆私と先生をくっつけたがるのか…。
『ぷはっ……いや~、そう言っていただけると嬉しいな~!ねっ、繭ちゃん!』
「っ……調子乗らないで下さいよ。」
『酷い、繭ちゃん…。』
口から手を離してあげれば、眉を下げて、これでもかと悲しみを私に訴えかけてくる岩崎先生に募っていく罪悪感を、どう表現していいのか分からない。
……なんで私が悪いみたいになってるの?
「…それより、先生。何か御用ですか?」
『ん?あ、そうだった。繭ちゃん、今週の木曜休みだったよね?』
「…。」
今週の水曜日から5月に入る。
ちなみに、5月のシフトは今朝発表された。……ということは、今の岩崎先生の頭の中にはすでに私の5月のシフトが入ってるってわけで。
私でさえまだ見てないのにこの人は――!
『デートしよ。デート。』
「お断りさせていただきます。」
『何で!?休みなんだからいいだろ!?』
完全に調子に乗っている先生から逃げるため、私はそそくさと賑やかな病室から立ち去った。