労苦
「おはようございます、梶間さん」


「ああ、おはよう。……夜眠れてる?」


「まあ、一応は」


 大抵、この男はウソを付く時、曖昧な言葉で返して隠す。


 ずっとコンビを組んでいるから、分かるのだ。


「水谷係長、いませんね?」


「ああ。用事でもあるんじゃないの?朝だから慌ただしいし」


 そう言って、デスクでパソコンを起動させ、作業し始める。


 課内庶務に区切りが付けば、出るつもりでいた。


 思う。


 毎日、警察官も大変だと。


 何せ、朝から晩まで働かされるのである。


 仕事に追われて。
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