労苦
 その日も午前十時過ぎに橋村を連れ、南新宿へと向かった。


 三原が撲殺された現場を見る。


 そしてゴルフクラブの遺棄されていた空き地の草の中も丹念に見て回った。


 すでに現場保存が解かれていて、改まって何かを見つけ出すことはない。


 ちょうど正午になり、近くの定食屋に入って、牛丼を頼む。


 食べ終わった後、近くの自販機で缶コーヒーを二缶買った。


 ブラックで飲むと、苦味で目が覚める。


「橋村君、これから南新宿署に行くから、欠伸とかしちゃダメだよ」


「ええ、分かってます。相手に失礼ですからね」


 橋村が頷く。


 歩きながら、街を見た。


 確かにここは物騒な場所だ。


 絶えず人通りがあり、辺り一帯は飲み屋やクラブ、風俗店などが軒を並べる。




< 109 / 666 >

この作品をシェア

pagetop