労苦
 一応拳銃は携帯していた。


 携帯許可が出なくても、銃は常に持ち歩いている。


 一課の刑事が銃器類を持っているのは、当然と言えば当然だ。


 半ば護身用に。


 歩きながら、考え続ける。


 いろんなことを。


 晴海も心配してくれているだろう。


 夫が捜査で危険な状況に巻き込まれてないかどうか。


 元婦警だから、警察の内情は知っている。


 誰よりも。


 南新宿署に着き、刑事課に隣り合わせの帳場に入ると、大村がいて、


「ああ、こんにちは、梶間警部に橋村警部補」


 と挨拶してきた。
< 110 / 666 >

この作品をシェア

pagetop