労苦
 一言漏らす。


「組対関係者がいずれ神宗会本部をガサ入れすると思いますので」


「それは川中組対部長が差配なさってですか?」


「ええ。川中部長は組対のトップですから、大丈夫でしょう。この事件に関しても、アンダーグランドで捜査を進めておられると思いますし」


 そう言って、大村を安堵させた。


 考えてみれば、暴力団や過激派などのアジトの一つや二つ潰すのは、あの部署の人間たちにとって訳ないことである。


 思っていた。


 ずっと捜査の推移を見ようと。


 その日の午後二時過ぎまで南新宿署にいて、その後、再度事件現場を見た。


 夏の暑さが沁みる一日だ。


 まだ初夏とはいえ、蒸すように暑いのだから……。


 それに気になっていることも、未解決なのだし……。
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