労苦
 ただ、警察の動きは鈍かった。


 吉村たち上の人間は絶えず幹部間でいろいろと協議しているようだったし、俺だって橋村を連れ、事件捜査に出向いていたのである。


 過ぎ去った五日間も決して無駄じゃなかったのだが……。


 俺たちはどちらかというと、上から異端視されていた。


 アイツらに捜査権はないとでもいうような。


 まあ、別に気にも掛けてなかった。


 ただ、事件はまるで止まったままだ。


 南新宿署の帳場は暇のようで、強行犯係長である大村がずっと留守番していた。


 他の刑事は出払っている。


 捜査のため。


 ちょうど火曜の午後、警視庁の地下射撃場で射撃訓練をした。


 午後二時から小一時間である。



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