労苦
 スコープを嵌め、持っていたオートに弾丸を込めて正眼に構え、放った。


 次々と的の中央に当たる。


 腕は落ちてない。


 以前に比べて。


 だが、さすがに若干老眼が入っていて、メガネを掛けないと近くが見えない。


 年齢相応だ。


 四十代という。


 橋村も射撃訓練に参加している。


 どうも相方は射撃の腕が悪い。


 得意じゃないらしいのだ。


 その分、柔道や逮捕術など、肉体での力の方を磨いているらしかった。


「橋村君、君はキャリアだから、いずれ上に行けて、立場が上がるよね?」


「ええ。ですが、梶間さんが羨ましいです。東大まで出て、キャリア組でものんびりされ




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