労苦
てるところが。何て言うか……、マイペースっていうか……」


「それは俺が出世しないデカだからって皮肉?」


「まあ、そうかもしれません。<出世の墓場>って言葉もありますし」


 橋村が笑う。


 釣られて笑ってしまった。


 そして言う。


「まあ、気にしないことだよ。お互い事情はいろいろあるだろ?」


「そうですね。ずっと同じ状況が続くことはないですし」


 案外しっかりした意見を持っている。


 射撃の腕は悪くても、その分、知能でカバーするのだった。


 確かにキャリアの刑事は皆、華々しい学歴を持ち、相応に出世していく。


 毎年入庁してくるⅠ種試験合格組は、紛れもなく幹部候補だ。


 いずれ警察でも上の方へ行く。

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