労苦
第15章
15
その日の午後五時頃、田村が先に南新宿を出、警視庁へと車を飛ばす。
金曜で週が終わりに近いのだが、俺も橋村も休みがない。
三原伸吾殺害事件で所轄に帳場が立ち、一定期間過ぎているから、フルスピードで追う必要があった。
まあ、こんな夏の蒸し暑い日に、外を動き回るのは大変だったが……。
そしてちょうど週明けの月曜の昼過ぎ、警視庁刑事部に意外な人間が現れた。
監察官の矢野原(やのはら)大二郎である。
刑事部内には緊張感が走った。
矢野原は配下の刑事を引き連れ、まっすぐに一課のフロアへと入っていく。
一課長である吉村が、
「これはこれは矢野原監察官。何かご用件でしょうか?」
と丁重に聞いた。
「いえ。吉村一課長、三原伸吾殺害のヤマは解決に向かってないようじゃないですか」
その日の午後五時頃、田村が先に南新宿を出、警視庁へと車を飛ばす。
金曜で週が終わりに近いのだが、俺も橋村も休みがない。
三原伸吾殺害事件で所轄に帳場が立ち、一定期間過ぎているから、フルスピードで追う必要があった。
まあ、こんな夏の蒸し暑い日に、外を動き回るのは大変だったが……。
そしてちょうど週明けの月曜の昼過ぎ、警視庁刑事部に意外な人間が現れた。
監察官の矢野原(やのはら)大二郎である。
刑事部内には緊張感が走った。
矢野原は配下の刑事を引き連れ、まっすぐに一課のフロアへと入っていく。
一課長である吉村が、
「これはこれは矢野原監察官。何かご用件でしょうか?」
と丁重に聞いた。
「いえ。吉村一課長、三原伸吾殺害のヤマは解決に向かってないようじゃないですか」