労苦
「あの女デカも必死なんだな」


 と言って、現場周辺を歩き始める。


 刑事は大変な仕事だ。


 こんなに蒸し暑い中でも、ひたすら歩くのだし……。


 ゆっくりする間はなかった。


 必死で捜査する。


 疲れていた。


 連日の異様な酷暑が体力を奪う。


 早くも夏の疲労が出てきつつあった。


 六月上旬はそんな時季だ。


 蒸すように暑い。


 橋村が言った。


「梶間さん、このまま南新宿署まで歩きませんか?」
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