労苦
 入っていたとすれば、内田の私物か、もしくは事件に何も関係ない類の物だと思う。


 だが、仮にそれが事件の解決に繋がるものだとしたら……。


 そう思うと、バカには出来ない。


 ちょうど三十分ほど足止めされていると、鑑識の必携品を持った上田がワゴンで来て、


「梶間警部に橋村警部補、怪しい金庫と仰いますと?」


 と言ってきた。


「ああ、上田さん。五桁の数字でロックしてあるんだけど、割り出せる?」


「五桁の数字……ですか?」


「うん。……出来る?」


「ええ、簡単ですよ。ピッキングなんかをする犯罪者がいる以上、金庫破りなんて余裕です」


 上田がそう言って、針金状の道具を使い、しばらくガチャガチャやっていた。


 数十秒後、カチャリと音がして、開く。



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