労苦
 これを警察官が見たら、一発で神宗会との付き合いがバレるのに。


 上田が金庫を押収して、そのまま帰庁した。


 午後三時過ぎだ。


 まだ歩ける。


 そう思い、通りを南新宿署へ向かった。


 所轄はガラガラで、大村を残したまま、捜査員は出払っている。


「こんにちは、大村係長」


「ああ。梶間警部、橋村警部補」


「捜査員は全員外回りですね?」


「ええ。つい先ほどまで数名いたんですが、そいつらも出てしまって」


「事件が解決に向かってないことを焦ってませんか?」


 そう言うと、大村が、


「ええ。ですが、これも所轄の不手際かと。……この帳場があっても、まともに機能して



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