労苦
 そして一週間があっという間に流れ、六月中旬を過ぎて、また土曜になる。


 この間、何もしてなかったわけじゃない。


 というよりも、ずっと動き続けていた。


 昔ながらのデカのように、絶えず汗を掻き、靴底をすり減らして。


 だが、どうにも捜査が進まない。


 一課の警察官も、ずっと三原殺害の犯人を追っていた。


 当山謙太は行方を晦ませている。


 三原をゴルフクラブで殴打し、殺害した容疑者たちは散り散りになっていた。


 よく分からない。


 俺にも、そして常に傍らにいる橋村にも。


 それに矢野原監察官が、南新宿署の帳場にいる大村を訪問している。


 なぜ、矢野原がそういった動きを示すのか、理解できない。


 だが、何かしら事件に関連があるのだろう。
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