労苦
「梶間さん、おはようございます」


 と挨拶してくる。


「ああ、おはよう。……早いね」


「ええ。最近、ずっと眠りが浅いんですよ。明け方には目が覚めますし」


「不眠なんだろ?ストレス性の」


「まあ、そうかもしれません。疲れが溜まってますし」


 橋村がそう言い、軽く頷く。


 メンズの整髪剤の付いた髪から、香りが漏れ出る。


 デスクに就き、課内庶務をこなす。


 ゆっくりする間はなかった。


 忙しいのだ。


 常に。


 まあ、いろいろあるのだし……。
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