労苦
 一端の歓楽街ではあるのだが……。


 ムーンに行き、軽く探ってみるが、もぬけの殻を見ても新味はない。


 喉が渇いていて、ふっと何か飲みたくなり、近くの自販機でブラックのアイスコーヒーを二缶買った。


 そして片方を橋村に渡す。


「ああ、ありがとうございます」


 目の前の青年刑事も疲れているようだ。


 まだ若いのだが……。


 空き缶を捨てて、また歩き続ける。


 愚直なのだが、それがデカだろう。


 足で感覚を確かめる。


 付近一帯を地取りながら……。


 毎日足が棒になる。



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