労苦
「君は今回の三原伸吾さん殺害事件をどう推測するかな?」


「俺ですか?俺はやっぱし……あの現場に残っていた、もう一つのDNAを調べるしかないと思いますよ」


「まあ、そうだろうね。これは事件に関係してる刑事なら、誰もが考える。だが――」


「だが?」


「ホシの目的が単に殺害だけだったとしても、幾分おかしくないかい?なぜ、抵抗したと思われるマル被をあえて殺し、遺体を路地裏に遺棄したのだろう?ちょっと納得いかないよね?まるで警察がすぐに嗅ぎ付けるのを待ってでもいるかのように」


「確かにそうですね。新宿の街に惨殺死体を置いておくのは不自然ですよね?」


「だろ?俺もそこが気になってた」


 軽く息をつき、その後、続けざまに言う。


「多分、ホシは三原さんの所持品などから、何かを抜き取ったりしたと考えるのが妥当だよ。金品などじゃなくても、持ってるフラッシュメモリとか、情報などの詰まったものを」


「そう来ましたか?」


「ああ。そう考えると、ホシの行動パターンが分かる。まず三原さんを殺害し、所持品か
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