労苦
は分かっていた。


 少なくとも、あの店が事件関係者のたまり場だったのは間違いない。


 事件は解決までに難儀するだろう。


 だが、行くしかない。


 それ以外に選択肢がないのである。


 午前中は課内庶務だ。


 担当として渡された書類などに目を通し、必要があればパソコンに打ち込む。


 警察官は大変だった。


 普段からの鍛錬や訓練に捜査、そして庶務など何でもこなす必要がある。


 その日も午前十一時半になると、フロアを出た。


 庁内の食堂で食事を取り、そのまま地下駐車場へ向かう。


 橋村を助手席に乗せて、ハンドルを握った。


 車を運転しながら、言う。
< 210 / 666 >

この作品をシェア

pagetop