労苦
「行ってくる」


 と言い、地下鉄の駅へ歩いていく。


 電車に乗り、桜田門駅で降りて、白亜の建物である警視庁へと入っていった。


 十階の捜査一課フロアには、捜査員がいる。


 幾分ピリピリしていた。


 もちろん、一口に事件と言っても、複数ある。


 警察官は常に新たなヤマを追っているのだ。


 その中で三原伸吾殺害事件は風化しつつあった。
 

 時間と共に。


 だが、俺も橋村も捜査担当として気を抜けない。


 そう思い、日々やっていた。


「梶間さん、おはようございます」


「ああ、おはよう」
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