労苦
 互いに挨拶を交わし、デスクに就く。


 そしてキーを叩き始めた。


 課内庶務は分担してやる。


 何も一課の人間だって、事件捜査ばかりしてるわけじゃない。


 合間に雑用の類はあるのだ。


 確かにバカバカしいとは思えても、やるしかない。


 割り切っていた。


 午前十時半過ぎに揃ってフロアを抜け出、地下駐車場へと降りていく。


 車に乗り込み、運転しながら、橋村と話す。


「田村刑事部長も、矢野原監察官も何らかの形で事件に関わってるね」


「ええ、間違いありません。所轄とああいった縁故があるのも、単なる偶然じゃありませんし」


「特に矢野原監察官はなぜ南新宿署を訪問したんだろう?」




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