労苦
「きっと大村係長も何か掴んでますよ。事件に関することを」


「まあ、そういったことは追々明かしていこう」


「そうですね。一気に全部が剥がれるわけじゃありませんし」


 橋村が軽く息をついた。


 神宗会関係者で本園は確保している。


 だが、事件に関与している肝心要の当山謙太は行方を晦ましているし、他の構成員も散り散りだ。


 とりあえず、探ることが必要だろう。


 現場に行き、変わらない人だかりを見る。


 そしてそのまま南新宿署へと向かった。


 刑事課横の帳場に行くと、大村が倒れている。


 手元にあったコーヒーのカップからアーモンド臭がした。


「橋村君、すぐに救急車呼んで。青酸カリ中毒だ」
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