労苦
 不気味だった。


 犯行が白日の下に晒されるのは分かっていて。


 午前10時半過ぎに橋村を誘い合わせ、フロアを出て、外へと歩いていく。


 昼食にはまだ早い。


 事件が膠着してきた。


 だが、三原を殺害したのが神宗会関係者だったとしても、その後は何かしら警察組織のほの暗い影がチラついている。 


 よく分からない。


 組織を守るためとはいえ、明らかに犯罪と分かるものに手を染める刑事が出てくるのが……。


 ずっと訝しんでいた。


 警察上層部や、矢野原監察官のような官界の人間が、何らかの形で事件に絡んでいる。


 エレベーターで地下駐車場へ下り、停めてあった車へと向かった。


 運転席に乗り込み、助手席に橋村を乗せて走らせる。
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