労苦
「人妻クラブムーンの内田晶夫が、事件に関係してることも把握済みですよね?」


「はい。あのクラブが事件関係者のたまり場になってましたから」


 石川の言葉にそう返し、また息をつく。


 橋村が、


「内田は今現在逃亡中です。風営法違反で、逮捕歴があるヤクザ者ですし」


 と言うと、前田が、


「本庁のデカさんたちが探ってくれると助かりますね。幾分縄張り意識のようなものはあるのですが」


 と言った後、タバコを取り出し、火を点けて吸い始める。


 一応、警察に出来ることは、神宗会の捜索と内田ら関係者の逮捕だった。


 難儀するのだが、またしばらく事件を追い続けることになる。


 二日後の火曜の朝、通常通り出勤し、一課のフロアにいた。


 十階は高い。



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