労苦
 ここ警視庁は高層階となっている。


 白亜の建物は権力の象徴だ。


 橋村と顔を合わせ、お互い声を掛け合ってから、朝方庶務をこなした。


 パソコンを立ち上げて、ずっとキーを叩く。


 思っていた。


 刑事も忙しい職業だなと。


 追われるのである。


 雑用の類にも。


 そして午前11時過ぎに、揃って席を立ち、フロア外へと歩いていく。


 吉村一課長や理事官もいたのだが、黙って席を外す。


 地下駐車場へ行き、車のエンジンを掛けて、助手席に橋村を乗せた。


 そのまま車を出す。


 また南新宿へ向かう。



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