労苦
第29章
29
署内で前田や石川ら所轄の捜査員と顔を合わせる。
話はするのだが、得られる情報は一定量だ。
多くもなく、かと言って少なくもなく。
橋村が言う。
「梶間さん、やっぱ三原社長殺害の件で俺たちが飛び回るより、一課の他のデカたちに応援要請した方が」
「本来ならそうだ。でも、今の状況下で、一課の警官が活発に動くことはないよ。ずっと隠れ
て捜査してても、事件を解決するまでには至らないと思うな」
「じゃあ、このまま俺たちが動いた方がいいってことですか?」
「ああ、その通りだ。……気になるのは、矢野原監察官の失踪だな。なぜ行方を晦ませたか?」
「生田巡査部長に大村係長殺害を実行させたからでしょう?」
「平たく言えばそうだ。だが、監察官も逃げおおせないだろうな。国内潜伏でも高跳びするに
しても、港湾当局や各航空会社などの目を逃れられない」
署内で前田や石川ら所轄の捜査員と顔を合わせる。
話はするのだが、得られる情報は一定量だ。
多くもなく、かと言って少なくもなく。
橋村が言う。
「梶間さん、やっぱ三原社長殺害の件で俺たちが飛び回るより、一課の他のデカたちに応援要請した方が」
「本来ならそうだ。でも、今の状況下で、一課の警官が活発に動くことはないよ。ずっと隠れ
て捜査してても、事件を解決するまでには至らないと思うな」
「じゃあ、このまま俺たちが動いた方がいいってことですか?」
「ああ、その通りだ。……気になるのは、矢野原監察官の失踪だな。なぜ行方を晦ませたか?」
「生田巡査部長に大村係長殺害を実行させたからでしょう?」
「平たく言えばそうだ。だが、監察官も逃げおおせないだろうな。国内潜伏でも高跳びするに
しても、港湾当局や各航空会社などの目を逃れられない」