労苦
 歩きながら、思った。


 ここは絶えず人間が入れ替わるので、捜査しにくいだろうと。


 犯罪者たちの足が付きにくい場所だ。


 歩を進め、南新宿署へと向かう。


 署に着き、刑事課へと入っていった。


 前田がいて、いきなり、


「梶間警部、橋村警部補、お昼済ませました?」


 と訊いてきたので、俺の方が、


「いえ、まだですが」


 と返す。


「弁当が余ってますので、どうぞ」


「ああ、済みません」


 そう言って受け取り、帳場のテーブルの一角で食べた。



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