労苦
 電車が桜田門駅に着き、降りてから歩き出す。


 警視庁の建物に入り、一課のフロアがある上階へと向かう。


 フロアに入ると、橋村がいて、


「梶間さん、おはようございます」


 と言ってきた。


「ああ、おはよう。……早いね」


「ええ。最近暑いんで、夜間は熟睡できませんし」


「そう?……不眠?」


「まあ、朝はすぐに目が覚めますね。逆に健康な証拠かもしれませんが」


 橋村がそう言い、視線をパソコンに戻して、キーを叩き始めた。


 俺の方もすぐにマシーンに向かう。


 午前中は課内庶務をこなした。


 いつも通りだ。
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