労苦
 と言ったので、


「ああ。大村係長殺害を生田巡査部長に命じたから、間接的にとはいえ殺人犯だ。しばらく放っておこう」


 と返す。


 橋村も黙り込んだ。


 思っていたのである。


 矢野原はいずれ殺人教唆容疑で、警視庁のデカに逮捕されると。


 だから、あえて、今しばらく放っておくという作戦に出たのだ。


 車が新宿区内に入り、南新宿へと向かった。


 昼過ぎの都心は蒸し暑い。


 そう思いながら、移動する。


 有料駐車場に停め、辺りを歩き出す。


 三原が殺害されて、時が経った。



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