労苦
 朝方、自宅マンションを出る前、晴海が、


「あなたも捜査漬けね。体大丈夫なの?」


 と訊いてきたので、


「ああ。何とか持ちこたえてるよ。今日も行かないとな」


 と返す。


 歩いて向かった先の地下鉄の駅は混雑している。


 おそらく、お盆休みで大量の人間が移動しているからだろう。


 まあ、警察官にはお盆など関係ない。


 警視庁本部庁舎の捜査一課フロアに着くと、先に橋村が来ていて、


「おはようございます、梶間さん」


 と言ってきた。


「ああ、おはよう、橋村君」


「捜査きついですよね。これと言って、手がかりが得られてませんし」



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