労苦
「まあ、神宗会の中に三原社長殺しのホシがいるってのは、薄々分かってるんだがな。でも、凶器に付いてたのが当山の指紋しかないようじゃ、話にならないし」


「――梶間さん」


「改まって何?」
 

「マルB関連のヤマですので、ここはしばらく組対の動きを待った方が」


「うん。だけど、そうも行かないんだよな。……組対は川中部長が動かすんだし、刑事部とは連動してないからね」


 そう言い、軽く息をつく。


 橋村が持ってきていたペットボトルのキャップを捻り開け、一口口を付けた。


 俺の方もパソコンを立ち上げて、キーを叩き、課内庶務を始める。


 一課内はどの係も特に動きはない。


 吉村一課長や、他の上役たちが捜査をきちんと指揮できてないのが実情だ。


 まあ、そんなものだろう。


 ここには多数の刑事が詰めていて、始終出入りしているのだから……。
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