労苦
「昼食は取られましたか?」


 と訊いてくる。


「いえ、まだです」


 答えた後、嵌めていた腕時計を見ると、ちょうど午後1時になるところだった。


「出前の丼が二人分余ってますので、よろしかったら」


「いただきます」


 即答し、橋村も頷いて、幾分遅い昼食を取り始める。


 丼はカツ丼で、普通に定食屋などで食べるのと同じ感じだ。


 食べ終わってから、ちょっと息をついていると、前田がコーヒーを飲みながら、しばらく小休止している。


 きっと疲れているのだろう。


 連日の酷暑と、事件捜査によりもたらされるストレスで。


 思っていた。




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