労苦
 そう思っていた。


 銃は常に持っているのだ。


 拳銃の携帯許可が出なくとも、普通に銃は持ち歩く。


 護身のために。


 南新宿署に行くと、刑事課に前田や石川がいた。


「ああ、梶間警部、橋村警部補。お疲れ様です」


 前田がそう言い、立ち上がって、ひと気のない帳場に行くため、歩く。


 付いていき、


「もうすぐ八月も終わりですね」


 と言って、軽く息をついた。


「ええ。直に秋に入りますからね」


 前田はそう言って帳場に入った後、室内で扇風機を回し、椅子に腰を下ろす。


「捜査が遅々として進まないのは、失態だと思ってます」
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